北米ニューハンプシャー州での均整セミナー(4)

北米ニューハンプシャー州での均整セミナーレポート(4)2015

4月15日から22日まで均整マニュアルセラピー(KMT)を教授するために渡米してまいりました。メンバーはKINA(kinsei Institute of North America)会長の町田先生、KINA JAPANメンバーである生井先生そして私(筒井)であります。
KMTは昨年のレポートでもご報告いたしましたが米国ではNaturopathic Docter(ND)とハリ師のCEU(免許更新プログラム)に登録されております。
また、この6月にはNDNR(ナチュロパシック ドクター ニュース アンド レビュー)という医学雑誌に町田先生のKMTの臨床研究が載ることになっています。

昨年のレポートではNDのCEUクラスを開催しそれをレポートいたしましたが、今年は当初ハリ師に対するCEUクラスを開催する予定で動いておりましたが、一旦開いてしまうと何万人といるハリ師からのCEUクラス開催のリクエストが来ることが考えられますので今回はNDのインストラクター養成のためのプログラムを開くことにしました。

成田空港からアメリカン航空176便10:55分発に乗りダラスへ11時間47分の旅、トランジットが1時間33分、ダラスからボストンへ3時間41分、合計17時間1分の旅でした。その後レンタカーでニューハンプシャー州マンチェスターにあるコンフォート イン エアポートホテルまで2時間の旅でした。今回で4回目の渡米でしたが今回は一番体がきつかったように思います。

4月15日夜にホテルに到着し、この日は夕食を食べ床に就きました。
4月16日(木)夕方6時から前回の講習の(2014年4月)レビューを行いました。参加者はDr.マシソン、Dr.メルディス、Dr.キャンディスです。

KMTのF1からF6までの体型調整の復習を行いました。
KMTの一番の特徴は体のゆがみを整えることです。体のゆがみとは肩が下がっているなどの見た目のゆがみもありますが、体の前後、左右、回旋動作をしてみて一つでもやりにくい動作があれば体は歪んでいることになります。

れでは何故、体は歪むのでしょうか?
立っている姿勢により重心がかかる部位が人によって違うからです。そのパターンをKMTでは12種類に分けています。

F1は前重心でつま先、膝、股関節、心窩部、大胸筋部、前頭部、椎骨ではC4,T5,L1,S4の1側(脊柱からその人の母指1本分のところ)が緊張しています。これらの部位の筋膜の緊張により前傾姿勢となり前屈がしづらい体型となります。
F2は踵、膝、へそ下、大胸筋部、後頭部、椎骨ではT1,T9,L5の1側が緊張しています。これらの部位の筋膜の緊張により後傾姿勢となり、後ろに反りにくい体型となります。
F1,F2ともに関連椎骨の2側(脊柱からその人の母指2本分のところ)にグーッとおしてポンと抜く刺激を行います。このとき遊びは頭部から仙骨に向かってとります。筋膜を引き延ばす感じで行います。3呼吸間を置き3回行います。これが各体型1クールとなります。すると上記に上げた緊張部が緩んできてやりにくかった動作がやりやすくなります。ゆがみが取れてくるのです。現実的には前に倒すと腰が痛い人はF1の操作、後ろに反ると痛みが出る人はF2の操作を行うと改善するということです。足の開きはL1の角度で開きF1は吸気の頂点、F2は呼気の頂点で刺激を入れます。

F3は左重心で左半身が緊張しています。左右屈では左に倒しやすい体型です。関連椎骨はC1,T2,T10,S1の2側が緊張しています。
F4は右重心で右半身が緊張しています。左右屈では右に倒しやすい体型です。関連椎骨はC5,T6,L2,S5の2側が緊張しています。
F3は右に倒すと調子の悪い人に、F4は左に倒すとどこかの調子の悪い人に使う調整法にも使います。足の角度はL2の角度に開きます。
F3,F4の調整法は関連椎骨の3~4側(脊柱から母指3から4本分のところ。)を3段に押しその後3段に放つ刺激を行います。3呼吸間を置き3回行います。F3は吸気の頂点、F4は呼気の頂点で刺激を入れます。

F5は右にねじりやすい体型で、体の前面は臍で上下を分けた場合左上半身と右下半身が緊張しており、後面はT12を境に上下に分けると右上半身と左下半身に緊張が来ております。関連椎骨はC2,T3,T11,S2の3~4側が緊張しております。

F6は左にねじりやすい体型で、体の前面は右上半身と左下半身が緊張しており後面は左上半身と右下半身が緊張しております。関連椎骨はC6,T7,L3,Coの3~4側が緊張しております

F5は左にねじると具合が悪くなる人、F6は右にねじると具合が悪くなる人にもこの調整法を使います。
調整法は1側にグーッと押して、スッと抜きグーッと押し切ってポンと抜きます。3呼吸間を置き3回行います。F5は吸気の頂点で、F6は呼気の頂点で刺激を入れます。足の開きはL3の角度です。

ここまでが前回の講習内容でしたが今回はテキストを作っていきましたので短時間で理解できたようです。呼吸と刺激の入れ方も大事ですが観察が最も大事で初めにこれができているかどうかで効果も変わってきますので今回は観察に重きを置き前回の復習を行いました。
2時間ほどの復習でこの日の講習を終えました。

4月17日(金)AM9:00から講習開始です。この日からDrブライアンも参加です。彼は以前F1からF12までの講習を受けておりますので復習プラスアルファーという事になります。

この日はF7からF12までの講習を行いました。
F7は上半身緊張型の体型で伸ばすことが得意な人です。水泳選手の体型です。関連椎骨はT1,T9,S5で3~4側が緊張しております。F8は下半身緊張型で縮めることが得意の体型で柔道選手のような体型です。関連椎骨はC4,T5,L1,S4の3~4側が緊張しております。調整部位はともに2側にグーッとおしてポンと放つ刺激を行います。手を前に伸ばし肋骨を開いた形で伏せます。足はL1の角度に開きます3呼吸間を置き3回行います。F7は吸気の頂点、F8は呼気の頂点で刺激を入れます。

F9は骨盤が閉じた体型で四肢が内旋している体型で下肢内側の筋肉が緊張しています。関連椎骨はC7,T8,L4で1側が緊張しています。
F10は骨盤が開いた体型で四肢が外旋している体型で下肢外側が緊張しています。関連椎骨はC3,T4,T12,S3で1側が緊張しています。調整部位はともに3~4側を3段に押し3段にぬく刺激を行います。3呼吸間を置き3回行います。F9は吸気の頂点、F10は呼気の頂点で刺激を入れます。足の開きはL4の角度です。

F11は全身の筋肉が緊張している体型で全身が硬くなっています。関連椎骨はC2,T3,T11,S2で2側が緊張しております。
F12は全身の筋肉が柔らかくなっている体型の人です。関連椎骨はC6,T7,L3,Coで2側が緊張しております。<br>
調整はともに1側でグーッとおしてスッともどしグーッと押切りポンと抜きます。
3呼吸間を置き3回行います。
F11は吸気の頂点で、F12は呼気の頂点で刺激を入れます。足はまっすぐに伸ばした形です。<br>
以上を講義いたしました。呼吸の入れ方が難しいようで刺激場所はわかるが呼吸を使うのにDrたちは初め苦戦していました。
何回も練習しているうちに次第に上達していきました。

また、この日からは応用編で経絡を使った体型の調整法もレクチャーしました。東洋医学では体の背部には兪穴というツボがあり各臓器に対応した働きをいたします。たとえばF1の関連椎骨であるT5は心の兪穴で心経に通じていますので心経を引き延ばす操作を行えばT5を直接操作しなくても同じような効果が期待できます。L1は三焦の兪穴ですので三焦経を引き延ばすことを行うとL1を操作しなくとも効果が得られます。このように考え各体型に対応した経絡を導き出し、その経絡にうまく角度と張力をつけて体型を調整するすべをレクチャーいたしました。これにはDrたちも驚いていました。角度、張力、間の取り方がうまくいかないと体型は変わりません、理論を理解することは早いのですが実技になると苦戦していました。但しのみこみが早いので最後にはマスターしていきました。

4月18日(土)
講習最終日ですのでF1からF12までの体型調整の復習並びに経絡を使った操法の復習。また、普段我々が行っているKMTをDrたちに受けてもらいました。

4月19日(日)
この日はDrブライアンから招待を受けていましたので午後から彼の家に向かいました。彼の家はニューハンプシャーの北、ラコニアという湖沼地域にありナビを頼りにやっと着きました。あらかじめ家の画像を見ていたので着きましたが住所だけでは迷ったかもしれないほどの田舎でした。家は8角形の家で外では鶏の放し飼い(毎日卵が5個取れるそうです。)をしていました。

家の設計はDrブライアンが行ったそうです。米国では医師になるためには(現在では看護師、ハリ師も)一度大学を出なければなることができません。医科大学に入る前には建築学を学んでいたようです。

(余談ですが米国に行くと必ず大学を出ているかどうか聞かれます。これは米国の医療関係のシステムがすべて大卒でないと学べないシステムになっているからです。)
夕食までに時間があったので少しハイキングに行きましょうという事で森を歩くことになりました。その森は彼の敷地で東京ドーム4つ分ほどの敷地だそうです。1時間ほど歩きましたがその中ではメープルの木がありメープルシロップを採取するためのバケツがいくつもぶら下げられていました。

また池がありビーバーの家族が住んでおりビーバーの家やダムがいくつもありました。

また、奥様のキャサリンもNDで自然療法出産開業医であり自宅に医院を持っています。

夕食は自家製のパンと自家製のキュシュ、それに豆の入ったスープでさすがND家族の食事という感じで自然があふれているという感じでした。乗っている車は日本製の電気自動車でナンバーは4GAIA(地球のために)でした。
夜になりキャンプファイアーを行おうという事になり近所の友達も呼んで行うことになりました。空には万点の星が見え、流れ星らしきもの(ISSの国際ステーションだと思います。)も見えました。

4月20日
この日は午後からDrマシソンと会いました。日本からの3人は少し風邪気味でしたのでビタミンの点滴をしてもらいました。マイヤーズ カクテルという点滴で疲れのひどい人やがん患者の治療に行う療法であり各種ビタミン、ミネラルを決められた量をまぜて点滴するものです。
今回は通常よりもビタミンCの含有量を多くして受けました。3人分のカクテルを作るのに30分くらいかかりました。受けたあとは体からビタミンのにおいがしてきて体がリフレッシュいたしました。

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